台風で屋根が被害を受けたら?応急処置・修理・保険・再発防止の完全マニュアル

台風による屋根の被害は、発生直後の対応を誤ると二次被害や保険トラブルにつながる可能性があります。本記事では、「命の安全確保」から「応急処置」「見積・修理」「保険申請」「再発防止」まで、現場で役立つ完全マニュアルを詳しく解説します。全国15万件の施工実績を誇る「屋根雨漏りのお医者さん」が監修した信頼の内容です。


1. 命を守る行動が最優先

屋根に登らない

台風通過直後の屋根は非常に危険です。濡れて滑りやすく、強風や落下物のリスクが高いため、絶対に屋根に登らないでください。特に、瓦や金属板が剥がれた状態では、足を踏み外す危険性が増します。専門業者に依頼するまで、無理に自分で確認しようとしないことが重要です。

感電リスクを防ぐ

漏水が照明やコンセント付近に達している場合、感電の危険性があります。まずはブレーカーを遮断し、電気系統の安全を確保しましょう。特に、天井裏や壁内での漏水は見えにくいため、電気を使用する際には十分注意が必要です。

室内での応急対応

室内では、バケツや吸水タオルを使って滴下を受け止め、家電や家具を安全な場所に移動させます。これにより、被害の拡大を防ぐことができます。また、床が濡れて滑りやすくなるため、滑り止めマットやタオルを敷いて安全を確保しましょう。

屋外での注意点

屋外では、落下した瓦や板金片に近づかないようにしましょう。これらの破片は鋭利で、怪我をする可能性があります。また、風で飛ばされる可能性があるため、強風が収まるまでは近づかないことが賢明です。


2. 応急処置:雨の侵入口を止める“時間稼ぎ”

応急処置の目的

台風後の応急処置は、雨水の侵入を一時的に止めて時間を稼ぐことが目的です。特に、修理業者が到着するまでの間に被害を最小限に抑えるための重要なステップです。

応急処置の手順

  1. ブルーシートを棟の稜線まで回して固定
    シートを屋根全体にかぶせ、風で飛ばされないようにします。棟(屋根の頂上部分)までしっかりと覆うことで、雨水の侵入を防ぎます。
  2. 四隅を砂袋や重石で加重
    シートがずれないよう、しっかりと固定します。砂袋や重石は、風で飛ばされないようにするための重要な役割を果たします。
  3. 端部を防水テープで風抜け防止
    テープを使ってシートの端を密閉し、雨水の侵入を防ぎます。特に、風が強い場合にはテープの使用が効果的です。

雨樋の詰まりを解消

雨樋の詰まりが原因で雨水が溢れている場合は、地上から安全に詰まりを除去するだけでも改善することがあります。詰まりの原因となる落ち葉やゴミを取り除くことで、雨水の流れをスムーズにします。ただし、高所作業は2人以上で行い、無理な登屋根は避けましょう。


3. 「証拠の記録」=修理・保険の要

記録の重要性

現場の状態を写真や動画で記録することは、修理と保険申請の両面で極めて重要です。被害の範囲と状況を時系列で残すことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

撮影のコツ

  • 全景→中景→近接の三段階で撮影
    被害の全体像から細部までを網羅的に記録します。
  • 日付証明を確保
    スマホの時刻表示や当日新聞を同画角に入れて日付を証明します。
  • 部位を明確化
    矢印や番号を付けて部位を明確化します。特に、棟、谷、ケラバ、軒先、立上り、雨樋などの部位を網羅的に記録します。
  • 室内の水の流れを記録
    室内では「天井→壁→床」の水の流れを撮影します。
  • 破片や飛散物の位置も記録
    破片や飛散物の位置を記録することで、風向きや被害の原因を推定する手がかりになります。

この「写真台帳」は、保険会社・施工業者・顧客自身の三者で情報を共有するための“共通言語”となります。


4. 診断と工法の選定:A=事故復旧/B=劣化改修の分離

診断のポイント

専門業者による診断では、突発事故(A)と経年劣化(B)を明確に区分することが重要です。これを曖昧にすると、保険申請が通らない原因になります。

診断フロー

  1. 被害ヒアリング
    発生日、気象条件、初期症状を詳しく聞き取ります。
  2. ドローン点検
    屋根全体の全景や端部、役物(屋根の付属部品)を確認します。
  3. 近接確認
    割れや固定抜け、飛散方向を詳細にチェックします。
  4. 散水試験
    必要に応じて散水試験を行い、雨水の侵入経路を再現します。
  5. 原因メモ+写真台帳を作成
    被害の原因を記録し、A(事故復旧)とB(劣化改修)を分離して見積もりを作成します。

修理工法の目安

  • 部分補修:棟板金や数枚瓦の破損に対応
  • カバー工法:下地が健全で断熱向上も狙える場合に適用
  • 葺き替え:ルーフィング破断や野地腐朽時に全面更新が必要

5. 見積書の“良し悪し”を見抜くプロ基準

見積書の透明性

信頼できる業者かどうかを判断するには、見積書の内容が透明であることが重要です。「〇〇一式」という記載が多い見積書は要注意です。

見るべきポイント

  • 部位×数量×単価の明細
    具体的な数量と単価が明記されているか確認します。
  • 屋根材の品名・厚み・ルーフィング種別
    使用する材料の詳細が記載されているか確認します。
  • 足場の高さ・延床・メッシュ有無
    足場の仕様が明確に記載されているか確認します。
  • 保証範囲・保証年数の明記
    施工保証と製品保証が分けて記載されているか確認します。

A(事故復旧)とB(劣化改修)は別紙見積で提出してもらうことが重要です。これにより保険査定がスムーズになります。

6. 火災保険(風災補償)の実務と申請手順

台風による屋根被害の多くは「風災」として火災保険の補償対象になります。ただし、経年劣化や施工不良による損傷は対象外となるため、申請時には注意が必要です。ここでは、保険申請の基本条件や手順を詳しく解説します。

保険の基本条件

  • 対象:台風、突風、飛来物などによる偶発的な損傷が対象です。例えば、強風で棟板金が飛ばされたり、瓦が割れたりした場合が該当します。
  • 対象外:経年劣化や老朽化、防水寿命切れなど、自然な劣化による損傷は補償対象外です。
  • 免責金額:契約内容により異なりますが、0円から数万円の範囲で設定されています。免責金額を超える損害が発生した場合に補償が適用されます。
  • 請求期限:原則として、被害発生日から3年以内に申請する必要があります。期限を過ぎると補償が受けられなくなるため、早めの対応が重要です。

提出書類

保険申請には、以下の書類が必要です:

  1. 損害写真台帳
    被害の全景、中景、近接の写真を時系列で記録したもの。
  2. 被害状況メモ
    発生日、気象条件、初期症状を詳細に記載したメモ。
  3. 見積書A/B
    事故復旧(A)と劣化改修(B)を分離した見積書。
  4. 罹災証明書(必要に応じて)
    市区町村が発行する証明書。
  5. 気象データ(必要に応じて)
    台風や突風の発生を証明するデータ。

電話申請の例

保険会社に連絡する際の具体的な例文を以下に示します:

「〇月〇日の台風で棟板金が飛散し、室内漏水が発生しました。風災補償の申請を希望します。写真台帳と見積(事故復旧・劣化改修分離)を提出いたします。」

このように、被害状況を簡潔かつ具体的に伝えることがポイントです。


7. 費用相場(30坪・一般住宅の平均目安)

屋根修理の費用は、被害の程度や使用する材料、工法によって大きく異なります。以下は、30坪程度の一般住宅を想定した平均的な費用目安です。

工事内容費用目安(税別)工期備考
棟板金交換10〜35万円1〜2日下地貫板含む
瓦補修・棟漆喰補修5〜40万円1〜3日破損枚数・棟長で変動
スレート部分交換8〜30万円1〜2日角欠け・数枚
陸屋根防水改修20〜80万円2〜5日破断・立上り補修
カバー工法(GL鋼板)80〜150万円4〜7日断熱一体材含む
葺き替え(GL鋼板)120〜250万円7〜14日下地更新・撤去含む
足場仮設15〜30万円高さ・立地で変動

費用の注意点

  • 正確な費用算出:勾配、面積、役物の数量によって費用が変動します。詳細な見積もりを依頼しましょう。
  • 相見積もりの推奨:2〜3社から見積もりを取り、条件を比較することが重要です。

8. 悪徳業者を見抜くための“赤旗サイン”

台風被害後は、悪徳業者によるトラブルが多発します。以下のような行動を取る業者には注意が必要です。

典型的なトラブルパターン

  • 「無料点検」と称して突然訪問
    訪問販売業者が「無料点検」を口実に契約を迫るケースがあります。
  • 「保険で全額無料です」と断言
    保険適用の可否は保険会社が判断するものであり、業者が断言することはできません。
  • 見積もりや契約書を出さずに着工
    曖昧な説明で工事を始める業者には注意が必要です。
  • “一式見積”で詳細不明
    「〇〇一式」といった不透明な見積もりは、後から追加費用を請求されるリスクがあります。
  • 住所不明・携帯番号のみ・口コミが極端
    会社の所在地や連絡先が不明確な業者は信頼できません。

契約前の確認事項

  • 会社所在地、代表者、保証内容、施工実績を必ず確認しましょう。
  • 訪問契約の場合、**クーリングオフ(8日以内)**の説明がなければ違反です。

9. 屋根材別・台風時の典型被害と対策

屋根材の種類によって、台風時に発生しやすい被害や再発防止策が異なります。以下に代表的な例を挙げます。

屋根材典型的な被害再発防止策
瓦屋根ズレ・割れ・棟漆喰の崩壊桟金具全数緊結、棟銅線→耐風金具化
スレート屋根角欠け・割れ端部固定・割れ差し替え
金属屋根棟浮き・ビス抜け・ピンホール防水座金ビス・端末シール補強
陸屋根防水立上り破断・ドレン詰まり二次防水・ドレン清掃・改修強化

10. 工事後の検収で見るべき20項目

施工完了後は、見た目だけでなく、仕上がりと止水性能をしっかり確認することが重要です。以下のチェックポイントを参考にしてください。

チェックポイント

  • ビス座金やシールの座屈がないか
  • 重ね代や固定ピッチが製品仕様値以上か
  • 棟端部の止水連続性が確保されているか
  • 換気棟の通気が確保されているか(結露防止)
  • 谷部の勾配と排水が良好か
  • 端末の捨てシールが適切に施工されているか
  • 塗装の乾燥時間が守られているか
  • 雨樋の勾配やジョイントに漏れがないか
  • 屋根裏で再漏水が発生していないか
  • 保証書、写真台帳、取扱説明書を受領したか

11. 再発を防ぐ「予防整備」と年次点検

屋根は「直す」より「守る」ことが重要です。定期的な点検と小規模補修を行うことで、大規模修理を防ぐことができます。

おすすめ点検スケジュール

  • 年1回:棟、谷、雨樋の清掃と固定確認
  • 3〜5年:シーリングの打ち替えやビスの増し締め
  • 8〜12年:再塗装や下地のチェック
  • 台風・豪雨後:臨時点検(写真記録を含む)

飛散物対策

庭木の剪定やカーポートの固定など、飛散物対策も併せて実施しましょう。


まとめ

台風被害への対応は、「スピード」「証拠化」「正確な診断」が鍵です。焦らず安全を確保し、専門業者と二人三脚で早期復旧を進めましょう。この記事を参考に、万が一の際に備えてください。

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