屋根修理の工期はどれくらい?【工事別の目安と遅れる理由】

屋根修理やリフォームを計画する際、費用や工事内容と並んで多くの方が気にされるのが「工事期間は一体どれくらいかかるのか」という点です。

「工事中は洗濯物を外に干せるのだろうか」「騒音で近所に迷惑がかからないか」「仕事の都合上、週末に集中してほしい」など、日常生活への影響は無視できません。また、天候に左右されやすい屋根工事だからこそ、工期の目安を正しく理解しておかないと、「思ったよりずっと長引いてしまった」「業者からの説明と違う」といった不満やトラブルの原因になりかねません。

特に、契約を急かす業者から「うちは早いですよ、3日で終わります!」などと説明され、それを信じて契約してしまった結果、品質の低い手抜き工事につながるケースも後を絶ちません。

この記事では、屋根修理の専門家の視点から、以下の内容を実務ベースで詳しく、そして分かりやすく解説していきます。

  • 代表的な工事内容ごとの標準的な工期
  • なぜ工期が予定よりも延びてしまうのか、その主な理由
  • 後悔しないために、契約前に業者に必ず確認すべきポイント
  • 「異常に短い工期」がなぜ危険なのか、その裏側

この記事を読めば、屋根工事の工期に関する正しい知識が身につき、業者とのコミュニケーションを円滑に進め、安心して工事を任せるための判断基準を持つことができるようになります。


屋根修理の工期は「工事内容」で大きく変わる

まず大前提として、一口に「屋根修理」と言っても、その工期は「何を、どこまで、どのように直すか」によって全く異なります。屋根のてっぺんにある板金を交換するだけの1日で終わる工事もあれば、屋根全体を新しくするために2週間以上かかる工事もあります。

業者から提示された工期が妥当かどうかを判断するためには、まず、ご自身が検討している工事がどのカテゴリーに属するのかを把握することが重要です。

ここでは、代表的な工事内容別に、それぞれの標準的な工期とその特徴を見ていきましょう。


工事別|屋根修理の標準工期目安

① 部分修理(棟板金・谷板金・瓦差し替え・釘の浮きなど)

【工期目安:半日〜1日】

これは、屋根全体ではなく、問題が発生している特定の部分だけをピンポイントで補修する工事です。

対象となる主な工事

  • 棟板金(むねばんきん)の交換:屋根の最も高い部分にかぶせてある金属の板が、台風などで浮いたり剥がれたりした場合の交換作業。
  • 谷板金(たにばんきん)の補修:屋根の面と面がぶつかる谷の部分に入っている板金の穴あきや歪みの修理。
  • 瓦の差し替え:割れたりズレたりした瓦を、新しいものに交換する作業。
  • スレート屋根のひび割れ補修:専用の補修材で小さなクラックを埋める作業。
  • 釘やビスの浮き・抜けの打ち直し:経年で緩んできた固定具を増し締めしたり、防水処理を施したビスに交換したりする作業。

ポイントと注意点
比較的短時間で完了するため、生活への影響も最小限で済みます。雨漏りの初期段階や、台風後の応急処置として有効な場合が多いです。また、作業範囲が限定的なため、天候の影響も受けにくい傾向にあります。

ただし、注意点として、**「見えている部分を直しただけでは、根本原因が解決しない」**ケースがあります。例えば、棟板金を交換しようと剥がしてみたら、その下の木材(下地)が広範囲にわたって腐っていた、という場合です。こうなると、下地の補修や交換という追加工事が必要になり、工期は1日では終わらず、数日間に延長されることになります。

② 屋根塗装(美観・保護目的)

【工期目安:7〜10日程度】

屋根材の表面に塗料を塗り、防水性や耐久性を回復させる工事です。一般的に10年前後で行うメンテナンスとされています。

主な工程内訳

  1. 足場の設置・養生(1日):安全な作業環境の確保と、塗料が飛散しないように家全体をネットで覆います。
  2. 高圧洗浄(1日):長年の汚れやコケ、古い塗膜を強力な水圧で洗い流します。この工程をしっかり行わないと、新しい塗料がすぐに剥がれてしまいます。
  3. 下地処理・乾燥(1日):洗浄後、屋根を完全に乾燥させます。ひび割れがあれば補修も行います。
  4. 塗装(下塗り・中塗り・上塗り)(2〜3日):塗料の密着性を高める「下塗り」、主剤となる「中塗り」、仕上げの「上塗り」と、3回塗るのが基本です。各工程の間に、メーカーが指定する乾燥時間を確保する必要があります。
  5. 確認・足場の解体(1日):塗り残しがないかチェックし、問題がなければ足場を解体して完了です。

注意点
屋根塗装は、雨天時や湿度が高い日には作業ができません。 また、各工程の「乾燥時間」をしっかり確保することが品質を左右します。工期を短縮するために乾燥時間を省くような業者は、施工不良を起こすリスクが非常に高いため注意が必要です。
※重要な点として、すでに雨漏りしている屋根に塗装をしても、雨漏りは止まりません。 塗装はあくまで表面の防水性能を高めるものであり、水の浸入口を完全に塞ぐ工事ではないからです。

③ カバー工法(重ね葺き)

【工期目安:3〜7日程度】

既存の屋根材(主にスレートや古い金属屋根)の上から、新しい防水シートと軽量な金属屋根材をかぶせる工法です。

主な工程概要

  1. 足場設置・既存屋根の点検・清掃(1日):棟板金など不要な役物を撤去し、高圧洗浄は行わないまでも清掃します。
  2. 防水紙(ルーフィング)の敷設(1日):既存屋根の上に、新しい防水シートを隙間なく敷き詰めます。これが水の浸入を防ぐ最終防衛ラインとなります。
  3. 新しい屋根材の施工(1〜3日):防水紙の上に、ガルバリウム鋼板などの軽量な金属屋根材を設置していきます。
  4. 役物取り付け・足場解体(1〜2日):棟や軒先などの仕上げ作業を行い、足場を解体します。

ポイント
既存の屋根を撤去しないため、解体費用や廃材処分費がかからず、工期も比較的短いのが大きなメリットです。工事中の騒音やホコリも葺き替えに比べて少ないため、生活への影響を抑えたい方におすすめです。ただし、屋根の下地まで傷んでいる場合には適用できない工法です。

④ 葺き替え工事(全面改修)

【工期目安:7〜14日程度】

既存の屋根材をすべて撤去し、下地から新しく作り直す、最も大規模で確実な工事です。

主な工程概要

  1. 足場設置・養生(1日)
  2. 既存屋根材の撤去(1〜2日):瓦やスレートをすべて剥がし、トラックに積み込みます。この工程で最も騒音やホコリが発生します。
  3. 下地(野地板)の点検・補修・交換(1〜3日):屋根材を剥がした下地の状態を確認します。腐食や劣化が激しい場合は、新しい野地板に張り替えます。この下地の状態で工期が大きく変動します。
  4. 防水紙(ルーフィング)の敷設(1日):新しい下地の上に、防水シートを敷きます。
  5. 新しい屋根材の施工(2〜4日):瓦、金属屋根など、新しい屋根材を取り付けていきます。
  6. 役物取り付け・足場解体(1〜2日):最終仕上げを行い、清掃、足場解体となります。

ポイント
築20年以上経過している住宅や、雨漏りが深刻な場合に最も推奨される工法です。下地の状態まで直接確認・補修できるため、根本的な解決につながり、家の寿命を延ばすことができます。ただし、工期が最も長く、天候の影響も受けやすいのが特徴です。


屋根修理の工期が延びる主な理由

業者から提示された工程表通りに工事が進まないことは、決して珍しいことではありません。その理由を事前に知っておくことで、無用な心配や業者への不信感を減らすことができます。

① 天候不良(雨・雪・強風)

これが工期遅延の最大の理由です。屋根工事は高所での屋外作業であり、安全と品質の観点から、悪天候時には原則として作業を中止します。

  • 雨・雪:屋根が濡れていると、作業員が滑って転落する危険性が高まります。また、防水紙の施工や塗装工事、コーキング処理などは、濡れた状態では接着不良を起こし、工事品質が著しく低下します。
  • 強風:風速10m/s以上になると、足場での作業は非常に危険になります。屋根材や工具が落下・飛散し、第三者に被害を及ぼすリスクも高まるため、作業は中止となります。

特に、梅雨の時期や台風シーズンに工事を行う場合は、工程表に「予備日」が設けられているかどうかも確認すると良いでしょう。

② 解体後に下地の深刻な劣化が判明

これは特に葺き替え工事やカバー工法で起こりうるケースです。「屋根を開けてみたら、想定以上に下地が腐っていた」という状況です。
屋根材を剥がすまで下地(野地板)の状態は正確には分かりません。表面からは見えない部分で雨水が回り、野地板がブヨブヨに腐食していることは少なくありません。

この場合、当初の予定にはなかった「下地の補修・交換」という追加工事が発生します。腐食した木材を撤去し、新しい板を張る作業が必要になるため、工期は2〜3日、場合によってはそれ以上延長されます。これは手抜きではなく、家を長持ちさせるために必要な追加工事であり、誠実な業者ほど、この状況を写真などで丁寧に説明し、施主の確認を得てから作業を進めます。

③ 業者の段取りや管理体制の不備

残念ながら、業者の都合で工期が遅れるケースも存在します。

  • 無理な工程計画:契約を取りたいがために、最初から乾燥時間などを無視した無理な短期工程を提示している。
  • 人員不足・多重現場:複数の現場を少ない職人で掛け持ちしており、一つの現場に集中できない。午前中はA邸、午後はB邸といった形で作業しているため、一向に工事が進まない。
  • 資材や職人の手配ミス:必要な屋根材の発注が遅れたり、専門職人(板金職人など)の日程調整がうまくいかなかったりする。

このような業者に当たってしまうと、工事がだらだらと長引き、品質も低いものになりがちです。

④ 足場業者との連携の遅れ

屋根工事では、多くの場合、専門の足場業者に設置と解体を依頼します。工事が予定より早く終わっても、足場業者のスケジュールが埋まっていれば、すぐに解体してもらえません。逆に、工事が遅れた場合も、足場業者の次の予定との兼ね合いで、解体日がずれ込むことがあります。自社で足場を保有していない業者ほど、この調整に時間がかかる傾向があります。


工期説明でチェックすべき重要ポイント

業者と契約を結ぶ前に、工期に関して以下の点を確認することで、後のトラブルを大幅に減らすことができます。業者の説明の丁寧さが、その会社の信頼性を測る一つのバロメーターになります。

  • 工期は「目安」か「確定」か:「この工期は天候などによる変動の可能性を含んだものですか?」と確認しましょう。「天候次第で延びる可能性があります」と正直に説明する業者は信頼できます。
  • 雨天時の対応:「雨の日は完全にお休みですか?それとも、室内でできる作業などがあれば進めるのですか?」と聞いてみましょう。
  • 工期延長時の連絡ルール:「もし工事が遅れる場合、どのタイミングで、どのように連絡をいただけますか?」と事前に確認しておくことで、放置される不安がなくなります。
  • 生活への影響に関する説明:騒音や振動が発生する時間帯、駐車場の使用、洗濯物を干せない期間、工事中に在宅が必要かどうかなど、具体的な生活への影響を事前に説明してくれる業者を選びましょう。

「異常に短い工期」には要注意!

「他社は2週間と言っていますが、うちは1週間で葺き替えできます!」
このように、極端な工期の短さをアピールしてくる業者には最大限の注意が必要です。屋根工事には、省略してはならない「必須工程」と「必要な時間」が存在します。

異常に短い工期には、以下のような手抜きの危険性が隠されています。

  • 下地の確認・補修を省略している:葺き替えなのに、下地の状態をろくに確認せず、腐った木材の上に新しい防水紙を敷いてしまう。
  • 防水紙の施工を簡略化している:本来重ねて張るべき防水紙の重ね幅が足りない、タッカー(大きなホッチキス)の数が少ないなど、見えない部分で手を抜く。
  • 乾燥時間を無視している:塗装工事で、塗料が乾ききる前に次の工程に進んでしまう。これにより、塗膜の早期剥がれや膨れが発生します。

屋根修理において最も重要なのは「スピード」ではなく「品質」と「確実性」です。適切な工程を遵守すれば、物理的に不可能な工期というものが存在します。安易な「早い」という言葉に惑わされないでください。


屋根雨漏りのお医者さんの工期管理方針

参考までに、私たち専門業者が工期をどのように考え、管理しているかをご紹介します。私たちは、工期を単なるスケジュールではなく、**「最高の施工品質を担保するための設計図」**だと考えています。

  • 天候を考慮した現実的な工程計画:過去のデータに基づき、雨天などのリスクをあらかじめ見込んだ、余裕のある工程表を作成します。
  • 解体後の状態の徹底した情報共有:下地に予期せぬ問題が見つかった際は、必ず工事を一旦ストップします。そして、写真や動画をお客様と共有し、現状と必要な追加工事についてご納得いただいた上で作業を再開します。
  • 工期変更時の迅速な連絡:天候等で翌日の作業が中止になる場合は、前日の夕方までにご連絡するなど、お客様が不安にならないよう密な報告・連絡・相談を徹底します。
  • 品質を犠牲にする無理な短縮工事は絶対に行わない:たとえお客様から「もっと早く」とご要望があっても、品質を損なうような工程の省略はお断りしています。それがプロとしての責任だと考えるからです。

まとめ|工期を知れば屋根修理は失敗しない

屋根修理の工期について、詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。

  • 工期は工事内容によって半日〜2週間以上と大きく変わる。
  • 天候や、解体後の下地の状態で工期が延びるのは、ある意味で当たり前のこと。
  • 他社に比べて「異常に短い工期」を提示する業者は、手抜き工事のリスクが極めて高い。
  • 工期や遅延時の対応について、事前に丁寧に説明してくれるかどうかが、信頼できる業者を見極めるポイントになる。

屋根修理を成功させるために最も大切なのは、「何日で終わるか」というスピードに一喜一憂することではなく、「どのような工程で、どのように確実に終わらせてくれるか」という品質で判断することです。

正しい知識を身につけ、業者としっかりとコミュニケーションを取りながら、あなたの家を長く守るための最適な屋根修理を実現してください。

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