増築後に雨漏り?知っておきたい原因と対策

住宅の快適性や機能性を高める目的で行われる「増築」は、暮らしをより豊かにする大きなリフォームです。しかし、期待していた理想の住まいに雨漏りという思わぬ問題が発生すると、その満足感が一気に損なわれてしまいます。実際、増築工事のあとで「雨漏りが起きた」というトラブルは少なくなく、多くの方が頭を悩ませています。この記事では、なぜ増築後に雨漏りが起きやすいのか、どのような対策を取るべきかをわかりやすく解説していきます。

増築による雨漏りのリスクとは?

増築とは、既存の建物に対して新たな構造物を付け加える工事です。このとき最も注意すべきなのが「新旧の接合部」の処理です。増築部分と既存部分では、使用する材料や築年数、構造そのものが異なることが多く、完全に一体化させることが非常に難しいのです。特に屋根の継ぎ目や外壁の取り合い部分は、物理的なズレが生じやすく、そこから雨水が侵入する原因となります。

さらに、建物というのは時間の経過とともに微細な変形や沈下を起こします。既存部分はすでにある程度の「動き」が終わっているのに対し、新しく増築した部分はまだ動的な変化の途中にあるため、両者の間にズレや亀裂が生まれることがあります。このズレが雨漏りの入口になるのです。

また、工事を請け負う業者の技術力も重要です。増築は単なる新築とは異なり、既存の構造との調和が求められる高度な施工であるため、設計・施工に不備があると雨仕舞いが不十分になり、雨漏りのリスクが一気に高まります。

雨漏りが発生しやすい具体的な箇所

増築によって雨漏りが起こりやすい部位は大きく分けて3つあります。

まず最も典型的なのが「接合部」です。新旧の屋根のつなぎ目、壁と屋根の境目、増築部分の外壁と既存構造物の継ぎ目などは、微細な隙間が生じやすく、そこから雨水が浸入するリスクが非常に高くなります。これらの部分には特に丁寧な防水処理が求められるのですが、作業が雑であったり、経験の浅い職人が担当したりすると、適切な処理がなされず雨漏りが起きる原因となります。

次に注意すべきは「屋根の谷部分」です。増築によって屋根の形状が変わると、新たに谷状の部分が生まれることがあります。谷部分は、屋根に降った雨水が集中して流れる場所ですので、水の流れがスムーズでなかったり、排水処理が甘かったりすると、雨水が溜まり、その重みや圧力で防水層が破られ、結果として雨漏りが起きやすくなるのです。

また、「開口部まわり」も非常にリスクの高い場所です。増築で新たに窓や換気口、エアコンダクトなどの開口部が設けられる際、その周囲のコーキングが不十分だと、雨風が強い日に逆流現象が起きてしまいます。特に近年はゲリラ豪雨や台風といった気象条件の激化により、かつて問題なかった部分でも雨漏りする事例が増えています。

増築工事前に知っておきたい雨漏り対策

雨漏りのリスクを最小限に抑えるためには、増築前の段階での準備が何よりも重要です。まず、既存建物の状態をしっかりと点検しておきましょう。目に見える範囲のひび割れやコーキングの劣化、屋根のズレなどはもちろんのこと、可能であれば建築士や専門のリフォーム業者に調査を依頼し、建物の傾きや構造の歪みをチェックしてもらうことをおすすめします。

そして、「雨仕舞い設計」を十分に検討することが必要です。雨仕舞いとは、雨水を効率よく排水し、建物内部に侵入させない設計・施工のことを指します。屋根の形や傾斜、外壁の角度、雨どいの位置など、すべてが雨水の流れに影響を与える要素です。単にスペースを広げることだけを考えるのではなく、水の流れや風の向きを想定したプランニングが不可欠です。

さらに、使用する建材や防水材の選定も慎重に行いましょう。特に屋根材や外壁材は、新旧の素材の相性や経年劣化のスピードに注意が必要です。また、防水シートやルーフィングの施工についても、規定どおりの重ね幅が確保されているか、接着剤が均等に塗布されているかなど、現場での施工管理も欠かせません。設計と施工が一体となった品質管理があってこそ、雨漏りのない増築が可能になるのです。

増築後に雨漏りが発生した場合の対応法

もし、増築後に雨漏りが起きてしまった場合でも、あわてずに冷静な対応を取りましょう。まずは雨漏りの「発生箇所」の確認からです。雨が降った際に、どこから水が垂れてくるのか、どのタイミングでシミや変色が現れるのかをよく観察し、できれば写真や動画で記録しておくと、後々の修理に大いに役立ちます。

次に行うべきは、信頼できる業者による「調査の依頼」です。表面上の見た目だけで雨漏りの原因を断定するのは難しく、専門の知識と調査機器が必要です。たとえば、散水調査では水をかけて浸水経路を再現し、赤外線カメラでは壁や天井の中を通る水の動きを可視化できます。原因が特定できれば、補修は一気にスムーズになります。

補修の方法は状況により異なりますが、コーキングの打ち直しや、外壁の部分的な張り替え、防水シートの再施工などが一般的です。重要なのは「一時しのぎではなく根本的な修理」を行うことです。外から見える部分だけを直しても、内部に浸水経路が残っていれば、数か月後に再発する可能性が高いため、専門業者としっかりと相談して本質的な解決策を講じることが求められます。

雨漏りを防ぐために信頼できる業者選びを

増築工事で雨漏りを防ぐためには、実績と信頼のある施工業者を選ぶことが欠かせません。工事前に丁寧な現地調査を行い、明確で納得のいく見積もりを提示してくれる業者は信頼に値します。また、「雨仕舞いに関する知識が豊富かどうか」も重要な判断材料です。業者によっては、見た目の仕上がりばかりにこだわり、雨仕舞いを軽視しているケースもあるため、注意が必要です。

また、工事後の「保証内容」や「アフターサポート」の有無も確認しておきましょう。雨漏りは、工事からしばらく経ってから症状が現れることも多いため、長期の保証や再調査・再施工に応じてくれる体制が整っている業者を選ぶことで、万が一のときにも安心です。

さらに、口コミや過去の施工例などをチェックし、その業者が過去にどのような増築工事を行ってきたのか、雨漏り対策に対してどれほどの実績と知見を持っているかを事前に調べておくことをおすすめします。工事の価格だけで業者を選ぶのではなく、「長期的に安心して住める家づくり」に向けたパートナーとしてふさわしいかどうかを基準にすることが、失敗しないポイントです。

まとめ:増築による雨漏りを防ぎ、安心して暮らせる住まいを

増築は、住まいの快適性を大きく向上させる一方で、構造的な変化によって雨漏りのリスクも生まれます。特に接合部や屋根の形状変更、開口部の新設といった工事は、雨水の流れに影響を与えるため、雨仕舞いの設計と施工が極めて重要です。

事前の建物調査、丁寧な設計、正確な施工、そして信頼できる業者選び。これらすべてが揃うことで、増築後も安心して暮らせる家が完成します。たとえ雨漏りが発生してしまったとしても、早期に専門業者に相談し、原因を突き止めて根本的に解決することができれば、被害を最小限に抑えることができます。

この記事を通じて、「増築 雨漏り」に悩む方が正しい知識を身につけ、快適で安全な住まいを実現する手助けとなれば幸いです。

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