屋根と外壁は、雨や風から建物を守る重要な防水システムです。しかし、これらを「屋根だけ」「外壁だけ」と個別にリフォームすると、接合部(雨押え板金・破風板・笠木・コーキングなど)にズレや段差、防水切れが生じるリスクがあります。
その結果、雨漏りの再発や追加費用が発生しやすくなります。この記事では、屋根と外壁を同時にリフォームするメリット、工期、費用、補助金制度について、専門家の視点からわかりやすく解説します。
🧩 屋根と外壁が連動して劣化する理由
屋根と外壁は、紫外線や雨風、湿気などの影響を受けて連動して劣化します。以下は、主な劣化要因とその影響範囲です。
| 要因 | 影響範囲 | 内容 |
|---|---|---|
| 紫外線・熱 | 屋根・外壁塗膜 | 樹脂酸化により防水性が低下 |
| 雨風(風圧・風向) | 屋根端部・雨押え板金 | 吹込みや隙間拡大 |
| 結露・湿気 | 壁内・野地板 | 木部腐朽や断熱材の劣化 |
| コーキング劣化 | 屋根と壁の境界 | 雨水侵入リスクが増大 |
💡 屋根と外壁の接合部がカギ
屋根と外壁は「雨押え板金」や「破風板」を介してつながっています。どちらか一方だけを施工すると、防水ラインが途切れ、雨水が侵入しやすくなります。
💴 屋根+外壁を同時に行うメリット
屋根と外壁を同時にリフォームすることで、以下のようなメリットが得られます。
| 項目 | 同時施工 | 別々施工 |
|---|---|---|
| 足場設置費 | 1回分(約15〜25万円) | 2回分(計30〜50万円) |
| 工期 | 約+2〜3日延長 | 合計2回分(倍近く) |
| 外観統一 | 一括で色調整可能 | トーン差や境界の違和感 |
| 防水性能 | 接合部の連続性◎ | 境界部で防水切れリスク |
| 総コスト | 合計費−10〜20%削減 | 分割コスト増加 |
| 補助金・税制 | 併用申請が可能 | 申請重複で非効率 |
🧮 実際の平均節約額
同時施工を行うことで、30〜50万円前後のコスト削減が見込めます(30坪住宅基準)。
🧱 屋根+外壁リフォームの標準スケジュール(30坪住宅)
屋根と外壁を同時にリフォームする場合の標準的なスケジュールは以下の通りです。
| 工程 | 日数 | 内容 |
|---|---|---|
| 1日目 | 足場設置・養生 | 屋根・外壁共通で安全確保 |
| 2〜3日目 | 高圧洗浄 | 屋根・外壁の旧塗膜除去 |
| 4〜7日目 | 下地補修・コーキング | ひび割れ補修・防水強化 |
| 8〜12日目 | 屋根塗装(遮熱)+外壁塗装(シリコン・フッ素) | 2工程を並行で進行 |
| 13〜14日目 | 検査・足場解体 | 清掃・保証書発行 |
🧭 天候の影響
天候により、工期が2〜3日程度延びる場合があります。特に台風や梅雨期は順延が必要になることもあります。
🎨 デザイン面でのメリット
屋根と外壁を同時に施工することで、以下のようなデザイン面でのメリットが得られます。
- 色・質感・反射率のバランスを統一
外観の印象を「一新」でき、住宅の資産価値が向上します。 - 再販時の評価額がアップ
実際に同時リフォームを行った住宅は、再販時の評価額が平均5〜8%高いというデータがあります(不動産流通機構調べ)。
⚙️ 費用相場(2025年最新)
屋根と外壁を同時にリフォームする場合の費用相場は以下の通りです。
| 内容 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 屋根塗装(30坪) | 35〜55万円 | 遮熱フッ素系塗料が推奨 |
| 外壁塗装(150㎡) | 80〜130万円 | シリコン・無機塗料 |
| 足場設置(共通) | 15〜25万円 | 一度で共用可能 |
| 合計費用 | 120〜180万円前後 | 単独施工より約20%安価 |
💡 サイディング外壁の場合
外壁材がサイディングの場合、コーキング打替え(10〜20万円)を同時に行うことで、防水ラインを完全にリセットできます。
💡 補助金・減税制度(2025年版)
屋根と外壁の同時リフォームに利用できる補助金や減税制度を以下にまとめました。
| 制度名 | 対象 | 内容・上限 |
|---|---|---|
| 省エネ住宅改修補助金 | 遮熱・断熱塗装 | 最大20万円 |
| 長期優良住宅化リフォーム | 外装劣化対策+耐風改修 | 最大100万円 |
| 固定資産税減額制度 | 軽量屋根材・断熱改修 | 2〜3年減額 |
| 雑損控除 | 自然災害損傷時 | 所得税控除 |
| 地方自治体補助 | 各市区町村 | 条件により5〜20万円支給 |
🧭 補助金活用のポイント
屋根+外壁同時施工は「省エネ」「長期優良住宅」の条件を同時に満たしやすく、補助金併用が最も有効に働く組み合わせです。
🧠 専門家の見解
「屋根と外壁はセットで“防水ライン”を形成する構造体です。一方を後回しにすると、接合部から劣化が始まります。」
特に築15〜25年の住宅では、屋根と外壁の塗膜寿命がほぼ同時期に終わるため、同時リフォームが最も合理的です。
💬 よくある質問(FAQ)
Q1. 予算的に一部だけ先にやるのは?
→ 可能ですが、防水境界部(雨押え・破風板・笠木など)だけは一体補修を行うことをおすすめします。
Q2. 同時に行うデメリットは?
→ 一時的な出費が増える点のみ。ただし、トータルでは費用・工期・保証の面で有利です。
Q3. 外壁と屋根で塗料を変えても大丈夫?
→ 問題ありません。屋根には高耐熱系(遮熱フッ素)、外壁には防汚性・耐候性塗料を選ぶのが理想です。
🧾 まとめ|同時施工は「コスト削減+防水強化+外観統一」の最適解
| 比較項目 | 同時リフォーム | 別々リフォーム |
|---|---|---|
| 総費用 | 約120〜180万円 | 約150〜230万円 |
| 工期 | 10〜14日 | 2回で約3週間 |
| 防水性能 | 高(連続防水) | 中(境界部リスク) |
| 外観デザイン | 統一 | 色ムラの可能性 |
| 補助金活用 | 併用可 | 効率悪化 |
“屋根と外壁は夫婦関係”のようなものです。どちらか一方を放置すれば、もう片方にも悪影響が及びます。同時に整えることで、家全体の防水力と価値を蘇らせることができます。
